tricot

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編み物児童文学「ラブ・ウール100%」がおもしろかった

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図書館の新刊コーナーで見つけた本。
編み物好きな人が興味を持ちそうな編み物児童文学です。
タイトルもベタに「ラブ・ウール100%」。

父の転勤で転校してきたばかりで友達のいない中学生のアミコは、学校の図書館でラブラブだらけの編み物の本と出会い、大親友だったきゅうちゃんのため、初めての編み物に挑戦することに。
本に導かれ、魔法使いのように不思議なモヘア先生や12匹の猫たち、モヘア先生がニット教室を開くニットカフェ・モヘアに通う生徒たちとの出会いによって、アミコは一歩を踏み出していく。

出てくる登場人物たちがとても個性的で、読んでて楽しくなる物語でした。
ニットや手芸に関する名前を付けられた12匹の猫たちもかわいかった。
モヘア先生の語る、

「……いやなことや悲しいことがあってもね、心がほぐれて、心がからっぽになって、気持ちが静まっていくの。なんていうか、編み物って座禅みたいなもんかもね」
(「ラブ・ウール100%」50~51ページ引用)

という言葉は、編み物好きな人ならきっと共通の思いかも。
最初はモヘア先生の言葉を理解できなかったアミコも、物語の後半で理解する瞬間がやって来て、そのあたりのストーリーの展開がおもしろかった。
実際、中学生の時に感じていたことが、本文中の一文にそのまま書かれていて、中学生の時に未来の自分へ「今の気持ち、忘れないで!」と念を送った瞬間を思い出しました。
この作者、すごくうまい。
小学校高学年~中学生向けの本ですが、大人でも充分楽しめる作品でした。
他の作品も読んでみたいな。

 

ラブ・ウール100% (文学の森)

ラブ・ウール100% (文学の森)